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第一回 東京ドロウイング株式会社 代表取締役 寺岡一郎(1/2P)

企業のトップはエグゼクティブに何を求めるのか?
高い志を持つ企業のトップに聞く、人財論、ビジネス論、そしてエグゼクティブ論、第1弾。

東京ドロウイング株式会社 代表取締役 寺岡一郎

<プロフィール>
1951年、石川県生まれ。1977年、千葉大学大学院機械工学科を専攻修了し、クボタ(株)へ入社。1980年に同社を退職し、東京ドロウイング株式会社へ入社。2000年、同社代表取締役に就任。
趣味はテニス。2007年シニアテニス・アジア都市対抗に日本代表として出場。

東京ドロウイング株式会社のホームページ
http://www.todraw.co.jp/

聞き手:松下 宏(履創 代表取締役)

人材ではなく「人財」。社員を大事にすることが、ひいては「お客様第一」に繋がる

松下 東京ドロウイングは、回路設計、プリント配線板設計、機械・構造設計、ソフトウェア開発、各種試作製造を手がける国内トップメーカーです。ナンバーワン企業に成長した理由は何だと思いますか?

寺岡 一番大きいのは「人の定着」ですね。父が東京ドロウイングを創業したのが1954年。大田区池上のアパートからスタートしました。その後、会社が軌道に乗ってきて、どんどん人材を確保しようとしたのですが、東京ではなかなか難しい。

そこで、生まれ故郷である石川県にCADセンターを設立し、地元採用で人材を育てていきました。当社では人材を「人財」といっていますが、社員の定着率は非常に高いですね。

あとは、取引先の大手企業さんと長年培ってきた「信頼関係」でしょうか。当社は、機械・構造設計から出発した会社で、プリント基板・半導体開発設計は手がけていませんでした。しかし、1980年代になると、通信関連などの電子機器の需要がどんどん伸び、お客様からプリント基板・半導体開発設計のご相談をいただくことができました。文字通りゼロからの出発だったのですが、取引先の現場に社員を派遣したり、専用線を引いて共同開発に近い形でお客様のニーズに応える努力を行いました。

「やはり人財が会社の一番の財産なのですね」
「やはり人財が会社の一番の財産なのですね」

松下 人財がしっかり定着し、取引先から絶大なる信頼を得たからこそできる仕事ですね。

寺岡 ただ、こういう事業展開も一長一短なんです。というのも当時、一社に依存しすぎていました。2001~2002年頃に通信バブルがはじけ、事業の縮小で退職者も少なからず出してしまいました。

しかしその後、別の大手企業様から声をかけていただいたんです。東京ドロウイングの実績と技術、さらにそれまでの歩みをすべて調べた上で、こういう仕事を一緒にやりたい、と。これをきっかけに体質が改善されました。運が良かったんでしょうね。

松下 運の良し悪しもあるかもしれませんが、東京ドロウイング様の「人財」に対する高い信頼があったからこそではないでしょうか。実際、御社ではどのような制度で人財を育成しているのでしょうか?

寺岡 新人研修、ビジネススキル研修、資格取得支援制度など、様々な技術や知識を習得する制度を設けています。ただ、何より私が大切にしているのは、社員一人ひとりが自分なりのライフプランを持つことなんですよ。

実は、人間は持っているパワーの3~5%しか使っていない。様々な可能性をいっぱい持って生まれてきているのに、自分自身が活かせてない。でも良いところを伸ばす言葉や自分の波長に合うヒントに出会うと、私たちは想像以上に飛躍します。

例えば、スキー(大学院での2シーズン、岩岳スキースクールでコーチをしていた)でストックを使うリズムや位置をちょっと変えるだけで、初心者だった人が急に上達し、一緒に感激したことがあります。

Educateは、教えるではなく一緒に引っ張り出すこと。このEducateが、私のキーワードになりました。

当社の内定者研修では「何歳まで生きて、そのとき何を残したいか」を考えてもらいます。答えをすっと出せる人なんていません(笑)。いろんな人のライフプランのサンプルを見て、ハサミとのりで切り貼りし、最後に自分の笑顔の写真を貼る。それは大事にとっておいて、社会人としていろんな人と出会うたびに、ちょっとずつ自分のライフプランが明快になってきて、正解に近づいていくんです。